私の隣の席の軽い男、千石清澄。
私とあいつの共通点なんて一つも見つからない。
私とあいつとは「縁」なんてものがない。と思っていた。







それはある日の午後のかったるい授業での事。
ふと隣を見るとすやすやと眠っている千石が目に入る。
真面目に授業を受けている私がバカらしく思える。
早く先生に見つかれと祈るものの、一向にその方向を向かない先生。
先生に見つかりにくいのは一番後ろの端、視界に入りにくい席だからだろうか。
多分こっちを向いてくれない先生は先生に向いてないと思う。笑
って冗談を言っている場合ではなく、私のイライラは増えていくのである。


次の日。
ノートを取り終わった後、またちらっと隣の席を見てみた。
少しノートをとり始めたと思ったら数分後、鉛筆を置き、空を見上げてた。
空を見る表情がいつもと少し違ったような気がしてちょっと気になった。


また次の日。
始まったとたんまた空を見上げてた。
緑色の瞳にあおの空が映ってて凄く綺麗で見とれてしまった。
でもそれは別に千石が好きとかそんなんじゃない。・・と思う。

この日からもう千石を見るのが日課になっていた。





数日後


やっぱり空を見上げながら考え事をしている様だった。
すると先生は今日に限って(いつもは気づかないくせに)
千石が授業を真面目に受けてない事に気づいた。



「千石!!聞いてるのか?!この問題やってみろ」
「え?あ・・はい」



コツン。


あれ?ゴミが飛んできた!!てあれ?何か書いて・・・・



ごめん、あの問題分かる? 分かったら教えて?

                           隣の席の千石清澄から☆  
・・・・なんだこれ!! ちらっと隣を見るとあいつはバチンとウインクをする。 教えるわきゃねーだろ!!とシカトをする。 コツン。
教えてー泣くよーちゃんとお礼はするからー

                              キヨって呼んで☆  
教えないってば。てか泣くな!!キヨって呼んで☆って呼べるか!! ってあれ?! 待ってよ! お礼? いや、お礼はいらないけど・・ 少し考え、私は千石に問題の答えを投げ返した。 あいつは答えたあと授業を(私への恩も)忘れまた眠っていた。 くそー間違いを教えればよかったよと後悔の嵐。 でもここから私と千石に小さな「縁」が生まれたのだ。 次の日。 授業が始まったとたんまたゴミが投げ込まれる。 わかっている。誰からかは。あいつしかいない。隣の席のあいつだ。
昨日の お礼何がいい?

                   謎のキヨ☆  
ああ覚えてたんだと少し関心しながら。 まぁ今は勉強中なので後で返事をするとして。 そして数分後。
お返事は?早くくれないとひどいー

                             誕生日は11月25日☆  
・・・何故誕生日を書く・・不思議でたまらない。 この気持ちはどうしたらいいんでしょう。どこかを殴りたいです。 毎回思ってたけど「☆」がイライラ度をさらに高めている気がしてならない。 コツン また千石からだ。後でまとめて見よう。 コツン コツン ちょっとしつこいな。集中できないよ。ったく。 コツン コツン コツン コツン コツン コツン コツン コツン 「しつこい!!」 「・・・・。」 って・・・・大声で何言ってんだ自分!! もちろん二人はこの後職員室まで怒られにいきました。 の帰りに初めて千石と話した。やっぱりそんなに悪い奴ではない・・と思う。 そしてこの時、「昼休み、屋上来てくれない?」と誘われた。 「え 行かない」って言ったけど「待ってるから」なんていうから。 私は行ってしまうと思う。あいつって人操るの得意だなぁ。 そして昼休み。 すでに千石は来ててやっぱり空を見上げてた。 屋上で寝るのは気持ちーなんていいながらやっぱり空を見てた。 喋る時くらい私の顔、見てくれてもいいのに。焼きもちとかじゃなくて。 この気持ちなんて言うんだろうな 自分では全然分かんないよ。 「さんも隣寝れば?」 「・・いや遠慮します」 「いいから寝てみて。」 千石に無理矢理寝かされた私は、とりあえず空を見る。 「わ、すごーい」 「凄いでしょー」 「雲無いー」 「雲無いねー」 二人で大の字になって寝て。 空から見た私たちはどんな風に映ってるんだろうなんて考える。 考えてみてもどうにもならないってわかってるけど。 ふと隣をみると千石はやっぱり空を見てる。 やっぱり綺麗な緑色の千石の瞳に青い空が移ってる。 何度みてもその綺麗な瞳には見とれてしまう。 空が好きって目をしてる。 「千石って空好き?」 「え?何で分かったの?」 「分かるよーだって授業中とかいつも見てるし」 「・・いつも?」 「・・・・(は!)いやぇ・・い いつもって言うか ・・・た たまにって言うか・・ね!!」 「いつも俺の事見てたの?」 「・・・・・」 「・・・・俺のこと、好き?」 「・・・・・・。」 「・・・千石は私の事どう思ってる?」 「・・・さんは、空のイメージ。」 「・・・・・・へ? 空?」 「うん」 「そらの、あお」 千石の分かりにくいたとえはいまいち意味がわからなくて。 でも悪い意味ではないと思う。だって、千石の好きな空だから。 「俺のイメージは?」 「夕日とか?」 「夕日のオレンジ」 そう言ったら千石が黙ったから。 どう思ったかなんて想像もつかない。 「俺らって空つながりだね」 「・・・そうだね」 「私 千石が好き」 「うん」 「大好き」 「うん」 「俺も好き」 小さな縁から始まった、 正反対の私たちの恋はこれから始まる。 Fin
-------------------------------- ご感想フォーム 名前 一言 -------------------------------- 手紙系のものを入れたかったのです。 空とか自然が入っている物って書いてて楽しいです。 いつか続編と千石視点を書きますので待っててください。 名前変換少なくてすいません;